Daily Archives: October 16, 2016


お勧め アメコミ ⑦ RUMBLE、Nimona

お久しぶりです。気づいたらずっと更新してませんでした… 最近は日本の漫画も多く読んでいて、アメコミの新発見が少なかったかもしれません。とは言え、かなり気に入って影響を受けたシリーズもあったのでご紹介します! ⑩ RUMBLE 原作:John Arcudi 作画: James Harren カラー:Dave Stewart 出版: Image Comics ボビーは特に取柄がなく、平凡な見た目で平凡な生活、バーテンで生活費を稼ぎ、元カノに振られたばかりで平凡な生活をしていた。ある日、職場で元軍人の常連客が突然奇妙な男に大剣で腕を切り落とされてしまう。パニックに陥ったボビーはバットで襲撃者の頭を殴るが、吹っ飛んだ「頭」は藁の詰まった袋で、よく見たら男の全身がかかしだった?!ボビーが慌てて呼んだ警察が到着した頃、バーにはかかしの身体と大量の藁、被害者、切り落とされた腕、血痕すらは見当たらなく、ボビーは悪戯を仕掛けたと思われ怒られる。 そして、バーカウンターの裏に捨て去られた大剣担いだボビーが親友の自宅を目指して出発したが、突然ガーゴイルのようなバケモノに襲われ殺されかける…と思ったら先ほど頭を吹っ飛ばしたはずのかかしが助けに現れた! 作者のJohn Arcudiさん、James Harrenさんは以前ヘルボーイのスピンオフ「BPRD」を手掛けていますが、本作もBPRDと同様に紀元前から生存している悪魔やバケモノが題材となっていますが、BPRDと違って実世界の神話に基づくより、オリジナルの世界を描いています。毎回多くのキャラクターが死んだり死にかけたりしますが、トーンはシリアスよりカラーフルでコメディーなタッチが多い。バケモノのデザインはBPRD後期(Hell on Earth編)と同様に、とても変わったデザインでオリジナリティ満載。河合らしいキャラクターの本体が地面に埋まっている巨大なクモだったり、巨大な炎の身体の悪魔が実は小さい猫みたいな奴だったり。 古の悪魔と神(?)の戦争に巻き込まれてしまうボビーと親友のデルが特に超能力など発揮していないのもいいです。時々剣を振るったり、人間の技術でかかし人間のラスラックの戦いを手伝ったりしますが、本気を出したバケモノにはもちろん歯が立たず外から見ているだけの場面が多い。現実からかけ離れたファンタジーの物語ですが、そこに平凡な人間が放り込まれていることにより妙なリアリティが生まれ親しみやすい気がします。 特にHarrenさんのアートが素晴らしく、迫力のあるアクション、ぶっ飛んでいるモンスターデザインの次はスラップスティックのようなコミカルな場面が並んでいます。インクを飛ばしたスプラッター効果やトーンなど、さまざまな画材を使ってRumbleの世界を描いています。 BPRDファンはもちろん、昔のコミカルタッチなホラー映画やショーン・オブ・ザ・デッドのような作品が好きな方におススメです! RUMBLEは現在14話まで刊行済みで、12月に3巻目のTPBが発売予定です。邦訳は残念ながら無いようです…TPBの1と2はキンドル、コミクソロジーでも読めますので、気になった方はぜひチェックしてみてください! ⑪ NIMONA 原作/作画:Noelle Stevenson 出版: Harper Teen 伝説のヴィラン、バリスター・ブラックハートの前に突然現れたシェイプシフターの能力を持つ少女、ニモーナ。勝手にアジトに乗り込んだ彼女だが、勝手に相棒になると言い出し、勝手に作戦の手伝いをし出す。ブラックハートはヴィランでありながらも、実はとても良心的で、宿敵のサー・アンブロシウス・ゴルデンロイン以外は基本的に害を与えたくない。それに対して、衝動的で適当なニモーナは一般市民への被害を恐れず基本的に派手に暴れたいだけで、最初の作戦会議からブラックハートは彼女の性格と行動力に手こずるばかり。だが、なぜか放っておけない… 自らの過去の過ちに苦しまれながら、新相棒のミステリアスなオリジンに迫るべく、ブラックハートはニモーナと冒険に出る! Nimonaの作者はLumberjanesで世間を騒がせているNoelle Stevensonさん。アメコミのアカデミー賞にあたるアイズナー賞を始め、たくさんの賞を受賞し、話題を集めているので言うまでもないかもしれませんが、もう、天才。台詞の切れが絶妙で、衝動的で予測不能なニモーナの行動、言動が面白くてしょうがない。そして基本的に人を殺しにかかっているのに、愛らしくてしょうがない。ブラックハートが放っておけないのがちっとも不思議ではないです。ウェブコミックとして始まったNimonaの絵は少々ラフですが、物語にとても合っています。 基本的にはコメディー(これもセンスがすごい。ゴールデンロイン=「黄金の股間」とかのネーミング…)ですが、友情の描写がすごく心に響き、終盤はもうぼろ泣きでした。ニモーナの過去やブラックハートとゴールデンロインの複雑な関係(BL的な要素を匂わせるのも忘れない!)、「正義の組織」の中でのゴールデンロインの苦労の描写などに感動的なな場面が多い。(でもやっぱり笑える場面が最高) LumberjanesやAdventure Timeのようなハチャメチャなコメディーと友情の物語のファンにおススメ!YA文学やカートゥーンが好きな方も楽しめると思います。 Nimonaは1冊完結のグラフィックノベルで、ハードカバー、ペーパーバック、キンドル版が発売済み。数々の言語に翻訳されていますので、邦訳も夢ではないかと思います(が、台詞が多くてコメディのニュアンスが複雑なので大変だなぁと思います)。